声は大事!ブログ

ミサイル発射とアナウンサーの息

北朝鮮からのミサイルに安全が脅かされて、いままでに感じたことのない緊張感を覚えています。
上空を通過されてしまった北海道の皆様は、特に恐ろしい思いをなさったでしょうね。
それぞれの国の立場を理解すること、状況の変化に注視することに努めたいと思っているところです。

ところで、先日のミサイルの時も、一斉にテレビ各局がミサイル関連のニュースに切り替わりました。
アナウンサーが次々に入ってくる情報を読んでいきます。
テレビのザッピング視聴をした方も多いでしょう。

こんなときには、アナウンサーの地力が息に現れるなぁ、といつも感じます。
緊急事態には、アナウンサーの身体をアドレナリンがブゥワーーーと駆け巡ってしまいます。
すると、興奮状態に陥るので話すペースが自然に上がってしまいます。
更に、息が浅くなるので息継ぎが頻回になります。
声が上擦ることもあります。
海千山千のベテランアナウンサーでも、アドレナリンが引き起こす体の反応をコントロールできなくなることがあります。
これはニュースを担当したことのある全アナウンサーが、経験しているのではないかなぁ。

もっと細かく言うと、ニュース番組中に新しいニュースが差し込まれるときには、この症状は出にくいです。
地震など突発的なことが発生して急にアサインされ、「速報入れなくちゃ」とスタジオに飛び込んだときなどがサイアクですw。
昔、通常放送に割り込んで速報を入れるときには「決して走るな」と先輩に言われたな。

話を戻します。
緊急時のアナウンサーのパフォーマンスは、聴く人に影響を与えてしまいます。
心拍数が上がったアナウンサーが前述の読み方で伝えると、聴く人は「なにか大変なことが起きている」という強い印象を受けます。
ところが、そればかりが気になって内容が入りにくい。
東日本大震災時に津波が大勢の命を奪った教訓で、NHKでは「落ち着き払わず、あえて生々しく避難を呼びかけましょう」という方針に変わったようですね。
命に関わるときは、興奮状態の方がいい。わたしもそう思います。
しかし、それ以外では緊急事態こそ落ち着いて話した方が伝わるなぁと、改めて思いました。

今回のミサイル発射時には、息が上がって間を作ることができずに次々ニュース原稿を処理していたアナウンサーと、落ち着き払って深く息を吸えていた人の両方がいました。
もちろん落ち着いて伝えていたアナウンサーの方が、よく伝わりました。
聴く私が冷静さを奪われませんでした。

ビジネスパーソンの皆様にも、トラブルが起こって頭の中がスクランブル状態になることがあると思います。
他の人がパニックを起こしているときには、あえて深く息を吸って落ち着いて発言できるといいですね。
それが、周囲の人に伝染します。
そのコツは、「いま自分は緊張状態にある」と強く自覚すること。
そうすれば、(土井の感覚的な表現ですが)おなかの深いところに重心を移せます。
丹田を意識する感じ、腹をくくる感じです。
すると、冷静な自分が戻ってきます。
よかったら、頭の片隅においておいてくださいね。

※ミサイルなんかより飛行機雲が横切ってほしいな、と思いながら見上げた空。

20170917